美人への道
輝女 -SHINING WOMEN- #2 (2011/08/02)
輝女―SHINING WOMEN―二回目の女性は、島根発信型、県内県外問わず音楽活動をされている陽子さんです。
2003年よりクラブ等を中心にシンガー活動を始め、2005年にはreal★kin名義で歌ものアルバムをリリース。2006年より「4/4kicks kiss」というアーティスト名義に変更し、インスト を中心としたCLUB MUSICの制作活動を始め、ダウンロード配信/ライブ活動/イベントのオーガナイザーを務めたりと精力的に活動されています。
陽子さんは現在、松江市在住の32歳。普通にお仕事をしながら、音楽活動を継続されています。 彼女はどんな時に、どんな曲を作るのでしょう?
今回待ち合わせたCAFEに現われた彼女は、年齢よりもとても若く見え、不思議な雰囲気を持った女性でした。
マンゴーフロートを飲みながらニッコリ微笑む彼女に、早速音楽について話しをうかがいました。
彼女が手がける音楽のジャンルはハウスミュージック。 通称「HOUSE」と呼ばれていますが、そもそもHOUSEとは「4つ打ち」 と称される、四分音符で1小節に4つのバスドラム音(キック)が鳴る楽曲構成のことだそうで、「4/4kicks kiss」というアーティスト名も、ここからヒントを得て、彼女の音楽仲間が付けられたそうです。
楽曲が出来るまでを簡単に説明してもらいました。
「まず、自宅でシンセサイザーやPCを使って曲を60~70%まで作り上げます。その後、仁多の知り合いのスタジオに音源デモを持ち込んで、アレンジ作業を繰り返し、客観的に聴いて100%を目指します。
その後、マスタリング業者(音をクリアにする作業)とのやりとりで、120%の音質を目指し、完成した作品を配信業者に出してリリースします。」
山陰で、リリースまでしている人は少ないと思います。とりわけ、女性の人口は少ないですね。
女性が少ない理由は「だって暗くてオタク的だから」だそうで、楽曲を制作するときはいつも食事をとることも忘れ、部屋に籠り没頭するんだとか。かなりストイックですね。
音楽活動を始めたきっかけは何だったのでしょう?
「もともとピアノを習っていましたが、習いに行くのが苦手で、耳で覚えて好きな音楽ばかり を弾いて遊んでいました。特に宮崎駿さんの映画音楽とか好きなフレーズを….」 そこから音楽の扉を開き、中学2年生の時にシンセサイザーを手にし、打ち込み(シンセサイザーだけで一曲作る)に没頭。高校生になるとバンド活動をし、その後は徐々にライブハウスからクラブへ遊びに行くようになり、クラブの空間で踊る事が何よりも楽しいと実感。沢山のクラブ仲間と遊び、歌ったり&踊ったりしているうちに、ふと「もしかして自分でもこういう音楽でオリジナルを作れるんじゃないかな」と思い経ったそうです。
その後、CUBASEという音楽制作ソフトを購入。シンセサイザーとPCを組み合わせて、本格的に音楽制作を開始するようになったそうです。
クラブミュージック、特にHOUSEを好きになったきっかけは?
もともと音楽全般好きですけど、当時クラブに通い始めた頃、先輩DJさん達がHOUSEを流している事が多かったんです。(松江で私が直接影響を受けたのは、CHORIさん) HOUSEはいろんなタイプの楽曲やイベントがあるので、飽きないなーと思いました。
DJさんだけじゃなく、HOUSEで踊るダンサーの友達の影響もあり、何かしらHOUSEで表現していきたいなーって思ったのがきっかけです。
彼女は本当にクラブが大好きで、行けるタイミングをみつけては、いろいろな県外のクラブや、ロンドンのクラブにも通い、一人で現地交流をして来たそうです。
踊りに行くときには、必ず名刺と作った音源を持参して、ゲストDJさんはもちろん、現地DJさんやその日出会ったお友達に渡して帰るといいます。
そういう交流もあり、県外でのライブ活動に呼ばれたり、新しい音楽仲間が増えたりしたそうです。
また、日本以外のクラブカルチャーに直接触れたいとロンドン短期留学を決意。 「英語は全くだめです!!それよりも好奇心が勝ってしまったんです。笑」 という彼女の度胸と勇気には感服させられます。
何かに興味を持ち、こうしたい、こうなりたいと夢を見たときに(方法はどうであれ)動くか、動かないか。彼女はいつも「動く」方を選んできました。
そうやってクラブに通い、クラブミュージックに触れ、新しい楽曲を作るようになると、また次へ、次へ、と欲が出てきます。
インターネットで、音源を貼り付け、多くの方に聞いてもらいたいと思うようになりました。mixi、Facebook、Twitter、Myspace…あらゆるツールを駆使して、曲を県外へ、海外へと飛ばしていくようになりました。
無料ダウンロードの形から、徐々に、ダウンロードリリースの方向へ。
そうして常に動いていくことを選んだ彼女ですが、時には「このままでいいんだろうか」と落ち込むこともあるそうです。
きちんとした音源をリリースするには、それなりに資金もかかる。もっと沢山のリスナーに知ってもらうために、オリジナル楽曲を、プロの方にremix依頼をしたり、コラボレートをしたり等、様々な角度から挑戦。 一曲一曲リリースするごとに、音楽を聴いてもらえる幸せと共に、セルフプロデュースならではの自己負担…….. 常に心の奥にある「不安」が時々顔を出そうとします。
それでも彼女は動きます。
「音楽をしている自分が支えであり、自分の居場所だから。」
又、mixiを通じて全国に共通の趣味を持った友達ができたことも大きいと彼女は言います。
年に何度か東京に行き、普段メールや、電話で話している音楽仲間やプロのアーティストの方々との交流の輪を広げ、実際会ってプロの話しを聞くうちに、自分は自分のペースで、好きなことを好きなペースでやればいいことに気付きました。
その気付きが、彼女の気持ちを随分楽にしてくれました。そして曲をリリースする度、リスナーの数は増えていくようになりました。
彼女の今後の夢は、人を癒す音楽+クラブミュージックを多世代に伝える事。
「実際、自分の両親には、自分の音楽を深くは理解されていないんです。一曲でもいいから、世代を超えて、伝わる作品を作りたい。」
「自分自身が落ち込んだとき、自分自身を癒すために制作していた音楽が、いつしか、どこか知らない誰かの癒しの音楽に変わっていたら、不思議。地球上のいろんな波動があって、それぞれ違う人生の中の感情で、一瞬でも私の音楽との波動が合えば、それは幸せなことだなと思います。」
又、日本のクラブ文化と風営法に関係した厳しい取り締まりについても、様々な想いを募らせる彼女。
「私にとって、クラブという空間は大切な場所。良い音楽を浴びて、非日常的な感覚を持てたり、日常の大切さを確認できたり。サラリーマンが仕事帰りにふらっと飲みに行くように、学生がカラオケで遊ぶように。主婦がカフェでお茶をするように…..
それぞれの楽しみの空間は違うけれど、音楽というフィルターを通して、沢山の素敵な出会いが待っていると思う。自分自身を良い意味で解放してくれて、目に見えないパワーをもらえる場所。
まだクラブという空間にダークなイメージを持っている人がいたら、何かのきっかけで遊びに出かけてみたら良いと思う。」
音楽活動を通して、様々な素敵な出会いをしてきた彼女。 常に動くことを選んできた強さが、「彼女の生き方」そのものです。
これからも音楽というフィルターを通して、 彼女ならではの音楽発信をしていって欲しいですね。